A LONG VACATION

きまぐれ

【再掲】123日の淡路島記

2018.07.31 @Facebook

「僕のこれまで住んだあらゆる土地のなかでビエンヌ湖中のサン・ピエール島くらい、僕を真に幸福にし、そしていつまでもそこをなつかしむ情を残した土地はないだろう。(中略) 僕はこの二ヵ月を、自分の人生で最も幸福な時期であると思っている。僕は自分の全生涯中にただあの二ヵ月があるだけで十分だと思ったほど、そんなに幸福だったのである。
 
これはジャン=ジャック・ルソーによって250年ほど前に書かれた文章です。
18世紀当時の社会の圧迫、喧騒から逃れ、スイスのビエンヌ湖中にあるサン・ピエール島に移住したルソー。そこで出会った心優しき島民たちや瑞々しい自然のなかで時間を忘れて過ごす孤独の悦び。それらの情景が生き生きと描かれているのが、晩年の著作「孤独な散歩者の夢想」のなかの「第五の散歩」の場面です。
彼はその島で過ごした2ヶ月を、数十年経った後、死の間際になっても思い出し、郷愁に駆られるのです。
僕が淡路島で過ごした4ヶ月も、このルソーの「第五の散歩」に重なるような、本当に尊いものになりました。
当初の目的は渡航資金を稼ぐことだけでした。半年の渡航に足る金額に達すること、それ以外には何も求めていませんでした。
しかし、この123日のなかで手にしたのは、お金よりも大事なもの、いくらお金を積んでも手に入らないものばかりでした。
それは同僚の人たちの無償の優しさであり、大切な人と過ごしたかけがえのない日々であり、独りになって夢想と思索に耽ることでした。
 
4,5月の2ヶ月間はずっと独りでした。それは一見寂しいようで、僕がずっと求めていた、必要としていた時間でした。大分時代とは比にならないほど多様な人と関わりながら毎日を過ごしてきた大学生活前半の2年間。居酒屋、新幹線、東京タワー、コンタクトレンズ屋、日雇いのライブスタッフ、スーパー、ジェラート屋と渡り歩いたアルバイト、短くも心躍る体験をしたビートルマニアと2年から始まったサークルとゼミ。そのなかで自分にとって有意義な時間をたくさん過ごせた一方で、本当の意味で独りになれる時間はありませんでした。川の流れに飲まれるように毎日があれよあれよと過ぎていったし、その川も、今まで自分の過ごしたきた世界・価値観とは全く違い、誰かの決めた「幸せ」や「普通」というもののなかに溺れてしまいそうでした。だから毎日、特に1年の秋頃なんて死ぬほど息苦しかったし、見えない何かに雁字搦めになっている感覚がいつも付きまとっていました。2年になってゼミとサークルに恵まれたことで毎日がとても楽しくなった一方で、早稲田にいると、「何かをしなければいけない。」という意識に常に苛まれたり、社会的地位や名声のようなものに重きを置きがちな環境に、心が芯からは休まることがなかったのも事実です。
そんな自分にとって、ある意味待ち焦がれていたのがこの淡路島での日々でした。
 
社宅の目の前にある海辺。
そこが僕にとって、かけがえのない秘密の場所でした。
水平線から顔を出す朝日と共に目覚め、八時間の労働を終える。そして急いで社宅に戻り、数冊を携えて海辺に向かう。風のなかで本を読み、少し疲れたらぼーっと水平線や青空を眺めて過去のことを思い出したり、未来のことに胸を膨らます。外から大学の良い面や悪い面について考えたり、そこに日本社会の大きな分断を見つけたり。

そんなふうに過ごしていると、麗らかな時間がだんだんと終わりに近づく。気付けば太陽は傾き、海岸の岩が影を伸ばす。真っ赤な夕陽は山の淵をなぞるようにゆっくりと沈んでいく。そのとき初めて、太陽の動くスピードの速さに気づき、ハッと驚く。
光源が山の向こうに完全に隠れてしまうと、少し肌寒さを覚える。そして荷物をまとめて社宅に戻る。
風呂に入り、食事を済ませ、同居している同僚と少し話をする。ひと段落したら部屋に戻る。そして、西洋美術や歴史書の類などを読む。視界が揺らいで霞んでくると、電気を消して一日を終える。

毎日がそんな生活でした。
根っからの田舎育ちの自分だからか、やはり都会の喧騒よりも星空に囲まれた自分独りの静寂が落ち着くな、と改めて実感しました。
 
職場にいけば、気さくで面白く優しい人たちに囲まれ、仕事が苦には全くなりませんでした。それに、将来の仕事について考える良い機会にもなりました。来年から始まるインターンでは、自分の興味のある業界・企業ばかりにどうしても偏ってしまいそうなので。そういう面では、自分の向かおうとしている方向とは全く異なる業界で、派遣社員という立場ではあるもののフルタイムで数ヶ月働いた経験は、決して無駄ではない価値あるものになったと思います。
 
独りで過ごす時間が多かった4,5月と対照的に、6,7月は職場の人と交流する時間の多い2ヶ月でした。多くは語りませんが、生涯忘れられない出会いが複数あり、自信と幸福、葛藤と苦心の狭間でもがいていました。それに加えて、多くの人の無償の優しさを数えきれないほど受けました。
仕事柄、2万人に及ぶ無数の人に接するなかで、世の中には考えられないほど非道で傲慢で身勝手な人もいる反面、自分には到底及ばないほどに思い遣りと利他精神に満ちた人もたくさんいるということを肌で知りました。それを知るためには遠い外国に行く必要はなく、いまいる場所で十分なのだとつくづく思いました。
それはここに来るまでの20年という短い半生のなかで何度も何度も痛感していたことですが、ここへ来てそれが確信に変わりました。そして自分は少なくとも後者の側の人間でいたいとも思いました。

ここに書くということ、つまり、不特定多数に向けて、しかも文面という形で書くにはあまりにも制約が大きすぎて、僕がこの島で経験したことの0.2%も伝わりません。
ただここで述べたいのは、この4ヶ月は僕の人生においての大きな財産になったし、既に休学という決断が間違っていなかったと心から言えるということです。早稲田という、真の「多様性」からはかけ離れた場にはない大切なものがここにはたくさんあったということです。もちろん早稲田でしか出会えない人やものは多くあるし、それは僕にとってかけがえのないものであることは間違いありません。ただ、早稲田を社会の縮図と表す人がたまにいますが、そういう見方に対する大きな違和感があるというだけのことです。あまり言いたくはありませんが、早稲田から確実に消え失せている「何か」の正体がはっきり見えたのもこの4ヶ月の大きな収穫でした。

長くなりましたが、淡路島は自然と人に恵まれたとても穏やかな場所です。中心部である洲本の町は良い意味で「昭和の終わりと平成の始まり」を感じさせる所が多くて、はっぴいえんど村下孝蔵が好きな自分にはとても居心地がよかったです。たぶんそれらの音楽が好きな人なら、言わんとする町の「空気」が分かるんじゃないかと思います(笑)。
平成が終わり、新たな時代が始まろうとしている今だからこそ、ぜひ淡路島に足を運んでみて下さい。そこには人為的な「生かされた昭和」ではない、等身大の、失われつつある日本が生きています。
 
長くなりましたが、最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
 
Since the day I got here in Awaji Island which is the first island in Japan by myth, I realize that I am able to be alone (independent) in most of the time.
From the beginning of the first few days in the island, I had not thought much about the purpose of my life, what I should do and what I want to do. As time goes by, little by little, until the fourth month, I grasped some thoughts.
I arrived on this island on 31 March. Now, I had made a decision to learn the world's history, western art and some religions (Christianity, Judaism and Islamic) as I feel that they are essentially the same. Why did I choose them?
After working for some time and with the money that I had saved, I will leave Japan to Eastern Europe and Middle East country. I believe I should travel around the world as I unable to experience this in Japan:
The multi-ethnic society
The failure of globalism
The world where people live on certain or different religions.
I am 20 years old now. Although I am adult in law in Japan, I do not know much about the world I live.
Currently, year 2018, the world is changing dramatically or even faster.
Like most of the intelligent's people, Ian Bremmer said, US vs THEM which mentioned they are seperated far apart.
We know about this but we unable to understand the essence of the matter without real experience on it. Needless for me to say more for people who have sense of ownership.
This is the reason I am taking a year off and visiting foreign's countries.